オープン・コレクタの罠

 実は俺は中学校の時に電子工作にはまっていた時期があった。
 一度、中学校の時に引越しをしているのであるが、その際にファミコンもゲームボーイも置いていくように強制されて、テレビゲームがないと生きていけないと思った俺は「テレビゲームが無いならテレビゲームを作ればいいじゃない」などと考え、中学校の図書室で「ビギナートランジスタ読本」などの本を読みまくっていた俺だった。
 当時の中学校はいわゆる「相対評価」であったが、技術家庭で電子部品の話が出たときだけは、中学校で初めて「5」をとった覚えがある。
 当時のうちの親父は俺を「お前は馬鹿だから人一倍勉強しなければいけないんだ」と言い、「お前が高校に入るために出す学費など無い」と、散々嫌味を言っていて、現在の家族との不和の遠因を作っているのだが、さすがにこのときばかりは少し驚いていたようだ。
 とはいってもその時だけだったからね…そういうわけだから2008年の3月の出来事をきっかけに親父にも大学に入ってもらおうと、通信制大学の特修生の願書や選考料を送ったり、「お前は『ブタも引っ叩けば言う事を聞くんだぞ』と言っていたのを覚えているが、何をやっても駄目だと思うと何もしなくなるのを学校で習ったぞ」とか、「父親は馬鹿だから人一倍勉強してください」と書いた手紙を送ったりしてみたがどうもうまく行かないようで、ちょっと作戦を練っているところだ。
 できるだけ家族が死ぬまでに、うちの母ちゃんのように、俺が素直に感謝できる父親になってもらいたいものなのだがね。
 …そんな事はここではどうでもいいんだよ、ここではオープンコレクタの話だ。
 中学校の頃、デジタルICの使い方でつまづいて、さらにパソコンが手に入った事もあって、当時の俺は電子工作への興味を失ってしまった。

 デジタルICでどのようにつまづいたかといえば、デジタルICの「H」と「L」の意味を正しく理解していなかったのだ。
 当時は「電池のプラスに繋がっていたらHで、何も繋がっていなかったらL」だと思っていたらこれが大間違い
 後になって分かったのは「電池のマイナスに繋がったらL」と言う事らしいのだ。
 何も繋がっていない場合は、それを明記する場合は「ハイインピーダンス」となっていたり、あるいは「Hと同等」と言う事になるようだ。
 
 これにより俺は、ロボット開発に際し再び電子工作も開始し、「大人買い」が可能になった事もあり、電子工作分野も大いなる進展があったのだが、ある日、普段使っているICが供給できなくなる事を恐れた俺は代用品をくっつけた回路を作ったが、動かない。
 色々調べた結果、代用品に注意書きで「O.C(オープンコレクタ)」と書いてあったのが影響しているらしい事が分かった。
 
 具体的には、普通のICのHの状態が違うのだ。
 詳細は左の図をクリックして、俺のメモ書きから違いを見てくれ。
 オープン・コレクタだと、Hでも出力端子からプラスの電流が流れないらしいのだ。
 そうだ、思い出した…プリンタポートのSTRB端子が、こんな構造になっているのだ。
 そして実際、STRB端子に繋ぐBusy端子にオープン・コレクタではない出力端子を繋ぐと動作がおかしくなる事があるのを確認しているので、こういう時のためにこのオープンコレクタの出番があるのだろう。  つまり、STRB端子だけオープン・コレクタになっているのは意味があるようなのだ…でも話すと長くなるからこの話は割愛。
 逆に、ICによっては入力端子に「Hの時にちゃんと電流が流れてこないと動作しないよ」という説明書きがあったりするので、この点で注意しよう。
 ちなみにこの時のGE-12は、メモ書きのとおり「プルアップ抵抗」を、たしか6.7KΩあたりをくっつけたら、モータードライブICがちゃんと動き出して見事に解決できた。

 この調子で頑張れば、いつか俺のやっている事が日の目を見た暁には親父も心を入れ替えるかもしれないと信じてやっていくつもりだ。
 まぁ、それが無理でも、俺は退屈しない人生が送れるだろうよ。

参考文献:
 清水当 2000 ディジタルICを使おう CQ出版社 27ページ


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